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2015年6月12日金曜日

「春風夏雨」「春宵十話」



以前、とある大学で「心の勉強をしたこと」を前のブログでも書きましたが。
その時に「脳組織と神経細胞」についても少し学びました。

この勉強は非常に興味深く、人間の「脳と身体不調の密接な関係性」や「脳と心の繋がり」を論理的に理解できた貴重な時間でした。

例えば、こんなことを勉強します。

大脳の「前頭葉」は主に思考や理性を担っている部位で、ヒトが人間らしく高次な精神活動をしていく上でとても大切な役割を果たします。

間脳の「視床下部」は自律神経系や内分泌系の最高中枢で、ここと「体温の調節や代謝、食行動や性行動」とは密接な関係があります。

他にもたくさんの役割を担う部位があり、一つ一つ知っていくと「ストレスと病気の関係の深さ」や「自分の感情のコントロールと自律神経と体調の関係」なども脳が大きく関係していることがわかってきます。

そんな事を勉強してしばらく経った頃に出会った本が、岡潔さんの「春風夏雨」や「春宵十話」でした。
1970年頃に文庫化されたものですが、そんな高度経済成長期の真っただ中に、こういう警鐘を鳴らしてくれる本がちゃんとあったんだと感動にも似た気持ちになりました。

岡潔さんは著書の中で、大脳前頭葉の発達と「情緒の教育」の関係に触れておられます。
晩年には、「真には知、善には意、美には情が対応し、それらを妙が統括し、智が対応する。」いわゆる『真善美妙』を大切にせよと仰っています。
そして、日本民族はとりわけ情の民族であるため根本は情であるべきで、情操・情緒を大切にすることで分別智と無分別智を働かせ、知を身につけるべきと提唱されています。

その力強い言葉は、「日本人としての誇り」を考えさせられます。
自分がこの日本という国に生まれ、何を見て、何を聞いて、たくさんの人と出会い、どんな影響を受け、どんなことを目指し、目指すべき地点まで何を考えどう動いたか、そしてまたそこからどこへどう歩いていくか。
そうやって人生は作られていきます。

その人生の中で得られたことを次の世代にどう伝えられるかは私のこれからの生き方にかかっています。
その手段の一つとしてこのブログをやっているわけですが。
なにしろ「心の勉強」の重要さに気付いたのがけっこうな大人になってからだったので、まだまだ勉強不足です。

それでも沢山の本や人と出会って、考え、悩み、葛藤していく中で、自分の中の「本当に大切なこと」の中心軸はブレない自信ができました。
少しずつですが、その「気づきや学び」をここに記していこうと思います。

新天地ブログ第1弾、読んで頂きありがとうございました。



2015年4月30日木曜日

美しく怒れ


久しぶりに、スカッと目の前が解放された気持ちになる本に出会いました。

『美しく怒れ』
「人間の本質」に真正面から向き合いながら人生を体当たりで生き抜いた岡本太郎さんの「人間愛」が
真っすぐな言葉で綴られています。

約20年前~50年前の間に執筆されたものを纏めてあるので、時代背景が当時とは違う今日の人権意識にはそぐわない表現もあるかもしれませんが、それでも。
今、この時代に生きている人が「今一度じっくり考えなければいけない事」がたくさん記してあるように思いました。

『あらゆる合理、不合理にぶつかり、苦しみ、歓喜しながら、やりとげるからこそ、道徳が結晶し、世界はひらけていく。それが人間のよろこびである。』(第3章より)

この本の「美しい怒り」の言葉の中には「恨みや憎しみ」が感じられません。むしろ大きな「愛」を感じます。
特に第4章は圧巻で、その言葉一つ一つが身震いするほど痛烈に心に響きました。

『人に好かれようと思うな。そこに人間的勇気がわき起こる。』(第4章より)

「生きるとはどういうことか」、生きている実感がない人、なかなか気持ちが浮上できなくて苦しんでいる人。
この本はきっと人生観を広げ、前を向く力を貸してくれると思います。
まだ読んでいない方に。よかったら(^-^)

2014年6月9日月曜日

仕事に効く教養としての「世界史」


リンクは貼っていないのですが、私には日頃愛読させて頂いているブロガーさんが何人かいます。
その中の一人に、Chikirinさんという方がいて。(Chikirinさんについてはまたいずれ♪)

数年前、とある所でChikirinさんの対談記事を見つけて、その対談相手の出口治明さんという方の話がとても印象深かった事がありました。

そして今年始めだったか、出口治明さんが会長をされている会社のweb対談のコーナーで、私が今後是非関わりを持ちたいと思っている児童福祉のNPOの責任者の方がインタビューされているのを、たまたま見つけました。
(このNPO法人についてもまたいずれ♪♪)

そこから何かと私が興味を持つ場面場面で「出口治明」という名前を、ちょくちょく見かけるようになっていたのですが。

先日本屋さんで【仕事に効く教養としての「世界史」】という本を見つけ、少しパラパラっと覗いてみると、
非常に興味深い!
勢いで著者の名前もよく見ずに購入しました。
家に帰ってじっくり見てみると、なんとその著者が出口治明さんだったんですね♪

実に短絡的ですが何か運命めいたものを感じます(^∇^)

そして、その本ですが。
とにかくわかりやすい!
歴史を学ぶことの「意義」が最初から最後まで一貫していて少しもブレないのもカッコイイ。

「人間は目先の欲望には弱い動物ですから、高度成長で楽をしようという人がいつの時代でも圧倒的な多数派で・・・(p103参照)」

「先人に学べ」とは昔からよく聞きますが、教師としても反面教師としても「歴史」は本当に良い先生です。

地球上の歴史を学び、人間の変わらない本質的な部分と世界の国々のこれまでの相対的な流れを知ることによって、多面的な「眼」を養い、
これから日本はどういう方向へ流れようとしているのかを予測する。

自分の周りの情勢の流れをコントロールすることはできなくても、歴史を知って先人に学ぶことによって自分はこれからどう立ち振る舞えるのか、その方向性は見えてくると思うんですね。

その取っ掛かりとして、この本はドンピシャな本だと思いました。
「視野を広げたい」、「人任せにするのはそろそろ終わりにしなければ」。そんな気持ちが少しでもあって、まだ読まれていない方に、是非♪


2013年12月29日日曜日

徒然草


つれづれなるままに、ひぐらしすずりにむかひて、こころにうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなくかきつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

小学生の頃に丸暗記した記憶がありますが、当時はその意味を理解しようという気が起こらず、そのまま時が過ぎてしまいました。

今思うと、それは本当にもったいない事でした。
先日、本屋さんで何気なく手にとって中をパラパラッと見てみると、なんとも興味深そうではありませんか。

読み終わった今、この本は自分の生き方を考えるにあたって「良き友」のような存在になっています。

700余年前に、こういう事を考え、人間というものの奥底をじっと見つめ続けて、そしてそれを書き残してくれた大先輩がいらっしゃったなんて。
全部で二百四十三段から成るこの「徒然草」を書いた吉田兼好さんは、人生を達観した所がありながらも、自分の中に存在する「俗っぽい部分」にも眼を背けることなく、しっかりと自分と向き合っておられるところに好感が持てました。

中でも「生と死」に関する段や「人というものの趣」に関する段は本当に心に沁みます。

「自分がなすべきことを自覚している人間にとって、人生は短い。しかし、自覚しない人間にとって人生は長い。」(第百八十八段、解説参照)

どう考え、どう生きればいいのか。
この「徒然草」には、その「人生を生きるコツとヒント」がたくさん詰まっています。

この角川ソフィア文庫の「徒然草」は、格段ごとに、まず現代語訳で書いてあって、その後に原文があって、その後に解説が書いてあるので非常にわかりやすかったです。

新年を迎えるにあたって、心新たにスッキリしたい方にオススメです。読んだことのない方は是非♪


2013年8月20日火曜日

モモ


4月から受け始めた講座も、いよいよ大詰めになりました。
もうすぐ終わってしまうかと思うと、かなり寂しいです。

本当にたくさんの事を、短期間で、広く浅くではありますが、心に刻ませてもらいました。
中でも心に響いたのは、「知っていくこと」の大切さです。

これまで自分の人生の中で形成されてきた偏見や先入観(未だ自覚出来ていないことも含め)を見直しながら、その時その時に感じる「何故?」という気持ちを大事にし、その背景や歴史、それによって培われている人の心について、出来る限り知ろうとしていく。

この姿勢は、今後の私の人生にとって宝物になりそうです。

そして、もう一つ。この講座の「核」ともいえる事があります。
それは、「聴く」ということ。
まさに字のごとく、「心の目で耳を傾けること」の難しさを教えて頂きました。

心が弱って、声にならない声で助けを必要としている人がいれば、
「アドバイス」や「なぐさめの言葉」などは一切云わず、ただひたすら寄り添って聴く。
相手がどんな考えの人であれ、どんなに自分の価値観とかけ離れた人であれ、子供であれ、成人であれ、老人であれ、その「心の声」を全部受け止めて、ひたすらその傍らで、その人の内なる力を信じて待つ。

講義を受けながら、「そういう事ができるようになりたいと頑張ってる人が、こんなにたくさん日本にいるんだ。」と本当に心強い気持ちがしました。
(私が受けた講座の受講者は約200人ほど。現役の医師、看護師、介護士、教師、会社員、主婦、定年退職されてから「人のために何か自分にできることはないか」と模索されている方等、様々な人がいらっしゃいました。)

何より私がこの講座で感謝したい事は。
この「真に聴く行為」こそが、自分の人生観を押し広げていく何にも代え難い「心の糧」となっていく事に気づかせてもらえた事です。

そして、この事を学びながら思い出した一冊の本がありました。

それは小学生の頃に擦り切れるほど読んだ、「モモ」という本です。
映画「ネバーエンディングストーリー」の原作者の本だと言うと、分かる方もいらっしゃるかもしれません。

凍り付いてしまった心が「生き生きとした人間らしい心」に戻るには何が必要か。
そのヒントが、この本にはたくさん詰まっているような気がします。

子供にとっても多くの事が学べる本ですが、
いつも何かに追われてて「心の焦り」をなんとか鎮めたいと感じている人、「真に心が豊かになる」とはどういうことかを落ち着いて考えてみたい人、そんな大人の人にもオススメです♪


2013年6月17日月曜日

福翁自伝


本を読むことは、わりと昔から好きな方でした。
幼い頃、母によく「絵本の読み聞かせ」をしてもらったことも、ひょっとしたら関係してるのかな。

「本を読む」ということが何故面白いのかを考えてみると。
フィクションであれノンフィクションであれ、本には必ず「筆者の考え方や想い方」が表れています。
その筆者の人生観と自分の人生観を擦り合せることによって、少しずつ自分の人生観も広がっていくように感じるのです。
人と人との繋がりが稀薄になりつつある社会で、人と真剣に向き合うという機会が減ってきた中、他者の人生観と交わる機会も減っています。
本は、そこを少なからず補ってくれているんじゃないかと。

ちなみに。
目的の本を予め決めてから本屋さんに行くのももちろん合理的でいいのですが、買う本を本屋さんで悩みながら決めるのもワクワクして楽しいんですよね。
表紙絵と題名がしっくりくる本や、店員さんの手書きポップの内容が魅力的な本、とか。
そういう本に出会うと何か「縁」を感じたりして、どこか気持ちも上向きになるというか。

っと言ってながら、今回の本は今通っている講座の中で薦めてもらった本なんですけどね。
「福翁自伝」。
あの一万円札の人の自伝です。あまりに面白い本なので♪

この福澤諭吉という御人は。
切捨御免などという制度があったり、人の命がまだ現在の日本ほど統一しては守られていなかった時代に。
この上なく、とんでもないイタズラの数々をやらかした人でした。
しかし、その「世の中を斜め上から見渡す能力」で以て激動の時代をひょうひょうと生き抜いた彼は、どこか母性本能をくすぐる所もあったりします。

いつの世も、悪い人間もいるし、理不尽な事もたくさんあると思います。
福澤諭吉さんは、その時そこにある世の中で、彼の類い稀なユニークさで以て、自分にできる事を精一杯やり抜いた人だと、本から伝わってきます。
この人の、「諦める」という言葉なんか存在しないかのような人生は痛快そのもの。
「人生は自分で切り開く」という事も再認識させてくれ、心が元気になれる本だと思います♪



2013年2月16日土曜日

あしたも、こはるびより




「あしたも、こはるびより。」

名古屋市近郊の小さな平屋で、畑をやりながら、畑で穫れた野菜や果物でケーキや料理を作って、訪れた人々にふるまって、生活してらっしゃる老夫婦の歳時記です。

まさに、私が理想とするお二人の生活。
無駄な物や無駄な時間がなく、簡素だけれども、生きる知恵や工夫にあふれた優雅な空気が読んでいて伝わってきます。

86歳の「しゅういちさん」、83歳の「ひでこさん」が発する言葉の一つ一つが、日々の生活でザワつきがちな心を落ち着かせてくれて、癒やしてくれるんですよね。

私も昔からモノを作ることは嫌いじゃなかったけど、「きっちり丁寧」とは言い難いモノが多いです。
ひでこさんも昔は「(彼女曰く)ぶきっちょ」だったそうです。
でも
「それでもね。80まで生きて、おなじこと繰り返しずっとやっていれば、昨日より、今日はよくなるからね。」
という言葉どおり、ひでこさんの手仕事は本当に美しいのです。

そんな「ひでこさん」に触発されて、私も時間のある時に少しずつモノを作ったり直したりするようになりました。
「モノ作り」って、実際にやってみると見えてくる事や気づかされる事がたくさんあります。

「ここさえキッチリ留めてあったら、長持ちするんだろうなぁ」とか
「ここを先に縫ったほうが効率が良いかも」とか。

そんな感じで作ったモノが、少しずつたまってきました。
自分が実際に使ってみて「便利♪」「心地良い」と感じたものを自分で作ってみると、作り手の工夫や愛情がよくわかります。
もう少し数が増えたら、ネットショップに出品してみようかな♪

ちなみに、こんなモノ作ってみました(^-^)
鍋つかみです♪

2013年1月19日土曜日

ワイルド・スワン


「ワイルド・スワン」
たしか1993年に刊行された時には、かなりのベストセラー本だった記憶があるので、読まれた方もいらっしゃると思います。

当時、私はまだ学生で、自分に何の自信もなく、確固たる信念と呼べるものもなく、「何かが違う」と燻りながらもノホホンと生きていました。

そして「ワイルド・スワン」に出会って、第一次「自分の無知を知る時期」に突入したのであります。

もう、むさぼるように読んだのを覚えています。
教科書では学び得なかった中国の近現代史。
人間という生き物の弱さと脆さ。

それまで自分が生きてきた全ての事に「微かな疑問」が生じたのも、この本がキッカケだったと思います。

「自分の人生を生きる覚悟」の土台を作ってくれたと言っても過言ではないぐらいに影響を受けた本でした。

そして、それから20年。
先日ブックオフで、2007年に改訂新版として出された「ワイルド・スワン」の文庫本を見つけまして。
買ってしまいました♪

人は、権力を持った時(権力という傘の元にいる時)、優位な立場に立った時に、脆く危うくなって精神の弱さが出てきやすい生き物だと思います。

この本は
そういう弱さに勝ち、たとえ私怨があったとしても切り離して考え、崇高な精神を保つ勇気を、育てていきたいし、伝えていきたいと思わせてくれる本です。